2016年2月1日

2016年王子小劇場支援会員募集



王子小劇場芸術監督の北川です。
王子小劇場では2016年4月から一年間の年間支援会員を募集します。

今年は、皆様のご支援を賜るべく、ちょっときつ目のキャッチコピーを用意しました。劇場は、いつかは潰れます。「今すぐに」王子小劇場が閉館する、ということではありません。しかし、現状王子小劇場が「今後も閉館しないか」と言われれば、答えに窮する現状があります。

この数年来、都内だけでも多くの劇場が閉館しました。もちろん閉館の理由は様々でしょうし、十把一絡げにそれを論じることは出来ません。土地・建物の契約の問題もあるでしょうし、劇場とは全く関係のないロジックで閉館することもままあります。そんな中で、もし仮に、王子小劇場が立ちゆかなくなることがあるとするならば、それは一重に「経営の行き詰まり」に他なりません。今年で王子小劇場は開館18年、間もなく19年目に入ります。この19年の中で劇場部門が黒字を出したのは一回です。皮肉な話ですが、地震で保険が降りたからです。もちろん褒められた話ではありませんし、私も入社するまでは劇場費の値上げや、経営努力でどうにか出来る問題だと思っていました。しかしこうやって今皆様にお願いするのは、それらではどうにも出来なかった現実です。

今年、職員の給料を全体で2割カットしました。今年入れ替え予定だった備品の購入を延期しました。それでも、経年に伴う緊急の修繕なども重なり、おそらく今年も黒字にはなりません。劇場費を値上げするのが、最も手っ取り早い解決方法です。わかります。それでも劇場費を値上げできないのは、この劇場費でも、若手の劇団はペイできないことを知っているからです。劇場費を値上げして、そのしわ寄せは劇団にいきます。劇場は潰れずに済むかもしれません、ではそこを使うのは誰でしょう。もちろん別の資本がやってくることは考えられます。現状大きな資本からの出資を得たプロダクションが、我々クラスの劇場で公演を行うことも珍しくなくなりました。そういう方相手に商売をすることも、劇場としては一つの選択なのかもしれません。

ただ、王子小劇場は、現在、そしてこれから先のそう短くない期間、若い今芽吹いたばかりのアーティストを支援するスタンスを変える予定はありません。小劇場が生まれて、ここから日本の舞台芸術を背負うアーティストを排出してきたことは、芽吹く機会を用意した民間劇場が担ってきたという、前任者からの強烈な自負心があります。今劇場で働くスタッフも、皆一様にその機会に恵まれました。だからこそ、そんな劇場が死に向かっていくのをただ指を咥えて眺めてはいられない、という思いがあります。

今、舞台芸術を、特に小劇場を取り巻く環境は劇的に変わりつつあります。現状のままの形で続いていくことは難しいと個人的にも思います。クリエーターたちも、変わる必要があるでしょう。これまでのようなモデルばかりでなく、より多角的に生き残る戦略を考えなくてはならないと思います。その時、場所がある、という利点を活かし、劇場は何が出来るのかを考えます。

劇場には、抽象的な言葉になりますが「知と熱の集積」があります。これまで劇場を使って頂いた皆さま、地域の皆様、志を同じくする舞台芸術に関わる皆さま方の、知恵や知見が積もっています。様々な人が集まることで、熱が生まれます。この熱こそが、我々が考える我が劇場の一番の武器だと思っています。この熱を活かした、我々だからこそ出来る・考えうるミッションがまだあるのではないかと、
おこがましくも考えています。

改めて、「劇場は、潰れます。」
よくよく考えたら、当たり前のことです。文化財の指定でもうけないかぎり、ずっとある建造物などありません。だから、できればこの劇場が潰れるのは、その建物が寿命を迎える時、躯体がヘタってしまった時にしたいのです。その前に人為的な事情で潰したくない、との思いから、今回のこのような募集に踏み切りました。

時勢の変化についていけなくなったのだから仕方ない、というご意見もあるでしょう。わかります。
ただ、もしこの劇場の取組と、劇場に出入りする若い才能たちに価値を見出していただける篤志家の方がいらっしゃいましたら、どうかお力添えをいただきたい。今年から、100,000円の「劇場事業支援会員」の募集を始めます。劇場の様々な事業に活用させていただきます。
劇場が行っている現在の事業を維持するための資金になります。
もちろん、一般の支援会員の皆様の募集も行います。U-25支援会員の皆さまの募集も行います。
こちらは直接、若いアーティストのための支援となります。

長文をお読みいただきありがとうございました。
是非、ご検討いただけますと幸いです。


王子小劇場 芸術監督 北川大輔



追記
2016年2月8日〜 こりっち株式会社のご厚意により、CoRich舞台芸術!にバナーを掲出しました。この場をお借りして、こりっち株式会社さま、関係各位の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございます。

2016年2月21日〜荻野達也さま・fringeさまのご厚意により、fringeにバナーを掲出していただきました。この場をお借りして、荻野達也さま、関係各位の皆様に御礼申し上げます。ありがとうございます。

◯2016年度の利用予定劇団(順不同)
壱劇屋・野生児童・エクスクエスト・劇団ぱれえど・DULL-COLORED POP・柿喰う客・劇作家女子会・髭鶴亀・演劇組織KIMYO・王子落語会・中高生サマースクール ほか(全部で45演目程度を予定)

◯2015年度・2016年度の王子小劇場各種事業一覧
■若手支援プロジェクト施策(自主事業)
・重点支援フェスティバル開催(佐藤佐吉ユース演劇祭)
・若年層劇団割引制度(スタートダッシュ割引)
・他地域劇団支援制度(Meets TOKIO)
・主催者指定支援制度(俺がやらなきゃ誰がやる企画)
・学生観劇支援事業(スカラシップ)
・演出家養成支援事業(ディレクターズワークショップ)
・次世代創作者育成支援事業(中高生サマースクール)
など
■地域還元プロジェクト(主催・共催)
・王子落語会(年2回)
・シアタープロレス(不定期)
・北区民と演劇を作るプロジェクト(北区文化振興財団との共催・今年度から)
■観劇層支援プロジェクト
・託児サービス「マザーズ」の実施
・中高生1,000円以下設定

◯会員特典
【全種類の会員様】
■会員の方は、すべての公演を各1回・ユース(U-25)会員の方は、12公演までご覧いただけます。
 (要予約・会員本人のみ有効。権利の他人への譲渡・貸与はできません。)
■支援会員総会 会員の総会を開催し、プログラムへの意見、感想をうかがいます。 (参加任意)
■支援会員レターの発送 季刊(年3回)の発行を予定しています。

【劇場事業支援会員のみ】 
■王子小劇場サイトにリンクバナーを出すことができます。
王子小劇場の公演で配布されるチラシに広告を入れることができます。
■その他、王子小劇場の行う事業に関しての公聴会の参加ができます。

◯会費    
劇場事業支援会員 100,000円
お申込頂いた方には直接別途ご連絡を差し上げます。)

本会員 30,000円  ユース会員  15,000円 (25歳以下)
会員申し込みに、国籍・性別・年齢などの制限はありません。
パソコンからのメールを受信できるメールアドレスと環境が必要です(携帯可)

◯お申し込み
こちらのフォームに必要事項をご記入ください。
募集期間  2015/2/1〜3/20 24:00

◯お問い合わせ
03-3911-8259  info-ohsho@proof.ocn.ne.jp(担当:北川)

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