2021年4月23日

劇想からまわりえっちゃん『チャンバラ茶番 一生懸命 えいえいおー』観劇レポート(花まる学習会王子小劇場 平井寛人)

江戸時代の村民たちが唄い踊るアミューズメントショー!  劇想からまわりえっちゃん『チャンバラ茶番 一生懸命 えいえいおー』ーー観劇レポート


2021年4月23日(金)〜25日(日)北とぴあ つつじホールにて、劇想からまわりえっちゃん『チャンバラ茶番 一生懸命 えいえいおー』がいよいよ開幕する。1年の延期を経て稽古を重ねてきた「今脂に乗った劇団」が満を持して披露するステージ。
劇団としても今まで以上に大きな舞台となるつつじホールをどのように扱うのか期待を持って観劇に臨んだが非常に満足感の高い仕上がりとなっていた。

江戸時代、徳川家康の四男である松平忠吉が忠臣とともに傍若無人な振る舞いをし、自身の納める城下町で横暴を働いている場面が散見されるのだが、劇団特有のチャームのお陰か、ギャグが良い緩衝材となって効果を発揮しており憎めない。
上演全体を通じて役者たちの愛嬌が爆発し、それを盛り上げる音と光が一体を成して場面を展開していく乙な光景ばかりなので、観劇していて彼彼女らを友人のようにいつしか思うような錯覚に陥る出来だ。
舞台と客席の一体感を築く演出も随所に感じられ、ストレスレスな「村の賑わい」に参加するような感覚にもなったのも魅力の一つだ。

娯楽性の高い舞台であった。そうでありつつ、浮ついているようには感じられないエチケットも高い水準で保守され、時代ごとに移り変わる死生観であったり、個人が個人であるということ、他人を受け入れることなどビビッドな人間観を観客に考えさせる作りにもなっており、観劇体験がそのままエキサイティングな喜びにもなっている。これは劇団が築いてきたブランドに親しみを感じさせることに繋がっていた。
劇場全体を包むような音照も、劇団の本気を感じさせるに値する極めて高いクオリティだった。
また、えっちゃんファンを喜ばせる仕掛けもあり、初めての人でも再見する人でも「えっちゃんワールド」に浸るのにぴったしな渾身の作品になっている。
オリジナルソングも家に持ち帰って聴きたいほど傑作揃いだ。

コロナ禍において足が重いような日々が続くが、人間そのもの美しさ、文化の楽しみであったり心の栄養を欲する人々に、心よりイチオシしたいと思う。
キャラクターたちの魅力が溢れ出して止まらない舞台だ。是非彼彼女らに会いにいってほしい。

《公演詳細》
https://karamawariecchan.com/cyanbaracyabaneieeo/

                         花まる学習会王子小劇場 平井寛人







0 件のコメント:

コメントを投稿