2020年12月28日

年末のご挨拶(佐藤佐吉賞2020 について)

平素よりご厚情いただき誠にありがとうございます。
花まる学習会王子小劇場 芸術監督の池亀三太です。

劇場にとっても、演劇にとっても、世の中全体にとっても苦難続きだった2020年が終わりを迎えます。
今年は新型コロナウイルスの影響により、主催した「佐藤佐吉演劇祭2020」を会期途中でやむなく中止にしました。
それ以降も公演中止、公演延期となる団体が相次ぎ、花まる学習会王子小劇場での公演本数は例年の1/3程度となってしまいました。

世の中の多くの方がそうであったように演劇にとっても大変苦しい1年でありましたが、王子小劇場がこの1年をなんとか乗り越えられたのは、ひとえに劇場利用団体の皆様、観劇にお越しくださいましたお客様、劇場支援会員の皆様の存在のおかげです。
改めまして、中止・延期となった団体関係者の皆様含め、劇場に関わってくださいました全ての皆様、足をお運びいただきましたお客様、お気にかけてくださいました皆様、誠にありがとうございました。
特に演劇祭中止の際に実施しましたクラウドファンディングでは多くのご支援を賜り大変励みとなりました。
現在、延期開催となる演劇祭の実現に向け少しずつ動きだしております。
お世話になっている皆様に恩返しができるよう、またゼロからリスタートして精進して参ります。

例年、年末には花まる学習会王子小劇場で上演していただいた団体の作品・俳優・スタッフワークを対象としてより優れた作品・個人にその功績を讃え、「佐藤佐吉賞」というものを出させていただいております。
「佐藤佐吉賞」は作品評価をして賞を出すことによって、若手の活躍の幅が広がってほしい、よりチャンスをつかみとってほしいという願いを込めてこれまで主催してきました。
いち民間劇場が主催する賞ですので、権威ある賞ではございませんが、キャリア初期の段階でもチャンスがある賞としてこれまで多くの若手演劇人の背中を後押ししてきたと自負しております。

今年も「佐藤佐吉賞2020」を選考すべく劇場スタッフによる会議を行いました。
しかし、今年のような特殊な状況下では作品を批評すること自体が大変難しいものと痛感しました。
選考会議を重ねるの中で今年賞をだすことが正しいのかという議論になりました。
今年は作品を評価することが必ずしも団体への応援に繋がらないかもしれないと思いいたりました。
今年上演が実現した団体、上演が実現しなかった団体がある中で、それを分けているのは団体の実力や作品の優劣とは全く別軸でのことです。
私たちはあらゆる対策をしつつ制約がある中でなんとか上演を実現させた団体も、残念ながら上演中止・延期という苦渋の決断をせざるを得なかった団体も、そのどちらの団体も今後の活躍を祈っています。

そのような議論の結果、今年は「佐藤佐吉賞」を出さない決定を致しました。

ただし、来年の佐藤佐吉賞の選考は、今年2020年上演の団体も評価対象とし、「佐藤佐吉賞2021」に抱き合わせの形で称揚させていただきます。
今年、優れていた作品・個人を絶対に忘れません。来年まできちんと覚えておくことをお約束します。
来年には、賞を出すことが劇団の追い風となる世の中になることを願っています。

今年、賞は出しませんが代わりに今年上演していただいた全団体の感想を書かせていただきましたので、年末にツイートをさせていただきます。

まだもう少しこの苦難は続きそうですが、劇場利用団体の皆様と協力しながらひとつひとつの上演を大切にして、新たな演劇の誕生をひとつでも多く見届けられるよう、より一層精進して参ります。
来年も花まる学習会王子小劇場をどうぞよろしくお願いいたします。


花まる学習会王子小劇場 芸術監督 池亀三太